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最高裁判所第三小法廷 昭和50年(オ)1254号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人家近正直、同鷹取重信、同出島侑章、同山崎武徳、同桑原豊の上告理由第一について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第二について

記録によると、本件第一審の第四回口頭弁論から第八回口頭弁論までの間審理を担当した裁判官萩尾孝至のもとでは弁論更新の手続を欠いているが、次いで更迭した裁判官吉田秀文のもとにおいて第一〇回口頭弁論期日(昭和四四年六月二一日)に、最後に更迭した裁判官飯原一乗のもとにおいて第三六回口頭弁論期日(昭和四八年九月八日)にそれぞれ原被告双方の代理人によつて従前の口頭弁論の結果が陳述されたうえ、いずれも更に審理が遂げられ、裁判官飯原一乗が口頭弁論を終結し、判決を言い渡したものであることが認められる。そして、かような場合に、右訴訟の経過により前記訴訟手続上のかしが補正されたものと解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三五年(オ)第六〇号同三七年四月二〇日第二小法廷判決・裁判集六〇号三四五頁、昭和三九年第(オ)六九〇号同四一年二月二四日第一小法廷判決・裁判集八二号五四七頁)とするところである。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 環 昌一 裁判官 天野武一 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕)

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